Boxの基本情報やメリット、活用事例、Boxの導入や推進を成功させるためのポイントを解説します。
Boxとは、Box社の提供する法人向けクラウドストレージサービスです。2020年9月時点で顧客企業数は97,000社以上、そのうち68%がフォーチュン500企業(※)となっています。
クラウドストレージ、あるいはオンラインストレージとは、インターネットのクラウド上でデータを保管するサービスのことであり、ITインフラを刷新するうえで欠かせない要素のひとつです。
IoTやDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入・促進に伴って、業種を問わず企業で取り扱うデータ量は増加の一途を辿っています。そんななか、膨大なデータをクラウド上に保管することのできるクラウドストレージサービスの存在はとても重要です。
同サービスの国内年平均成長率が、7%超という高水準を誇っている点からも、注目度や必要性の高さがうかがえるでしょう。
※フォーチュン500企業:アメリカ企業の総収入に基づくランキングの上位500社のこと。アメリカのフォーチュン誌が年1回、フォーチュン500企業のリストを編集・発行している
数あるクラウドストレージサービスの中でBoxが多くの企業に選ばれる理由のひとつに、Boxが個人向けでなく法人向けであること、つまりビジネス志向のサービスであるという点が挙げられます。
Boxでは柔軟な階層構造のフォルダを作ることができ、組織やプロジェクトに対応した運用が可能です。そのため、グループ企業間のコンテンツ共通基盤となって、働き方改革の促進などに一役買います。
Boxはシンプルな操作性も人気ですが、その一方でアクセス権限の柔軟性にも優れています。
自由なプラットフォームとして機能するだけでなく、きめ細かい権限設定により社外とのやりとりも高いセキュリティを維持しながら実現することができるのです。
Boxのセキュリティの高さは、権限設定によるものばかりではありません。二要素認証や電子透かしといったスムーズな制御機能によってデータ漏洩を防ぎます。
さらに、Box KeySafeを使用して独自の暗号化キーを管理し、Box Shieldの分類ベースのポリシーとインテリジェントな脅威検出でリスクを軽減します。
企業の扱うデータは年々増加しており、総務省の推計によれば、2005年以降9年間で約9.3倍に拡大、年平均増加率は27.1%におよぶとのことです。
また、大手パソコンメーカー・Dellの調査では、企業が管理するデータ量の平均が、2016年からこれまでに831%増加したとの報告もあります。
増え続けるデータ量に対して、企業も必要容量を模索するのに難儀している中、容量が無制限なクラウドストレージはとても選びやすい選択肢と言えるでしょう。
参考:
ビッグデータの流通量の推計及びビッグデータの活用実態に関する調査研究|総務省
DELL、企業が管理するデータ量の平均が2016年から831%増と発表|IoTNEWS
Boxはさまざまな企業とパートナーシップを結んでいます。
Microsoft、Apple、Google、Adobe、workplace、salesforce、IBMなど、実に1,500以上ものアプリと連携することが可能です。
DXを推進するうえで、あらゆる場所・あらゆるデバイスからあらゆるコンテンツにアクセスすることができるというシームレスさは、必須条件のひとつと言ってもよいでしょう。
参考:
Boxが選ばれる6つ目の理由は、なんといっても信頼性が高いことです。
クラウドストレージが一般化したとはいえ、重要なビジネスの情報をクラウドに置くことを不安視する企業も少なくありません。
そんな企業にでも、「クラウドストレージサービスにBoxを使っている」と伝えるだけで話が通じるケースもあるといいます。
実際にBoxではサービス開始から大きな事故が一度も起きておらず、その知名度や実績に基づいた信頼性の高さは大きな魅力のひとつと言えるでしょう。
ここからは、Boxの活用事例8選と、Boxの活用を推進するためのポイントを紹介します。
ソーシャルネットワーキングサービス「GREE」をはじめ、さまざまなインターネット事業を展開するグリーは、慢性的なストレージの容量不足を解決するために、容量無制限であるBoxを全社導入しました。
また、APIを活用したカスタマイズによって、外部パートナーと共有できる安全で利便性の高い作業環境を整えたといいます。
Boxの導入によって、ファイルサーバの容量制限から解放されただけでなく、APIでアクセスユーザーを制御できる独自ツールなどを開発することで、セキュリティレベルも向上したのです。
グリーのケースでは、Boxの導入を成功させるためには、「ツールの乱立を避ける」「IT部門だけでなくユーザー部門にとってのメリットも明示する」といった要件が重要だとしています。
参考:
日本貨物鉄道株式会社(以下、JR貨物)では、ITインフラの刷新にBoxを活用しています。それまでJR貨物のネットワークは、全国約200拠点を有線ネットワーク中心に構成したもので、維持管理に大きなコストがかかっていました。
また情報共有やコミュニケーションツールは電話やメールなどの旧来型のものが中心で、一方で社内に設置されていたファイルサーバーの容量がひっ迫するなどストレージに関する課題も。
これらの問題を解決するためにMicrosoft Office 365を導入し、ネットワークを有線から無線へと移行しました。この段階では、各種ビジネスファイルを共有するコンテンツ基盤として、Microsoft Office 365のOne Driveを活用することを検討していたそうです。
しかしOne Driveの仕様では、JR貨物の使い方要件を満たすアクセス権限が行えなかったため、いくつかのクラウドストレージサービスを比較した結果、最終的にMicrosoft Office 365と親和性の高いBoxの活用を決定しました。
参考:
竹中工務店では、外部とコンテンツを共有するためのサービスとしてBoxを選びました。
建設業では、社内での連携をスムーズにするだけでなく、発注者・設計事務所・ゼネコン・協力会社・メーカーなど多くの関係者がひとつのプロジェクトに関わるため、社内だけでなく社外とのコンテンツ共有をスムーズにすることが、生産性向上に大きく寄与します。
具体的には、建設プロジェクトごとにBox上にフォルダを立ち上げ、図面・打合記録・工事写真・定例会議の議事録などを専用フォルダに分け、プロジェクト関係者がアクセスできるようにしているそうです。
社外のクラウドストレージを使う場合、企業によってはセキュリティ面に不安を抱くケースもありましたが、Boxを使っていることを伝えると話がスムーズに進んだといいます。
参考:
味の素グループでは、Boxを活用することによる働き方改革を推し進めています。「CSV(※)」の考え方に基づく施策のうち、Boxが活用されているのは主に「どこでもオフィス」です。
どこからでも勤務を可能にするため、社外から業務に必要な全システムへのアクセスを可能とする代わりに、PC内へ業務データを保存することを禁止し、すべてBoxで完結させることにしました。
Boxにより新たなセキュリティ管理の仕組みとルールが定められたことで、フリーアドレスやペーパーレス化も実現。特にペーパーレスの推進では、紙の書類を約9割削減し、1フロア当あたりのキャビネットの段数も4分の1程度まで減らすことができたといいます。
※Creating Shared Valueの略。共有価値の創造、あるいは共通価値の創造と訳され、企業が社会的な課題に取り組むことにより生産性や経済的価値が高まるという考え方を指します。
参考:
DeNAでは、「Anywhere(世界のどこにいても)、Any Device (デバイスの種類を問わず)にビジネスを行える」ことを基本スタンスとしており、そんな経営姿勢を支える主要プラットフォームとしてBoxを活用しています。
DeNAがBoxを選んだ理由として、次のような条件を挙げています。
(1)多言語対応が可能であること
(2)時差に関係なく利用できること
(3)社内外の関係者が対等の立場で利用できること
(4)OSやデバイスを問わずあらゆる端末から利用できること
なお、セキュリティ対策については、DeNAでもかつてはクラウド上に機密データを置くべきではないという考え方があったのだそうです。
しかしクラウド上でもセキュアな環境が保持できるようにあった現在、「むしろセキュリティを意識させない自由な環境の提供を重視している」と語ります。
参考:
「無印良品」の企画開発・製造・販売を行う良品計画では、セキュリティ対策の一環としてBoxの導入を決定しました。
クラウドストレージの選定にあたっては、「セキュリティがしっかりしていること」と、「DLP(Data Loss Prevention:情報漏洩を防ぐデータ監視システム)と連携が取れること」が必須要件だったといいます。
良品計画では、Boxの導入に先立ってSymantec DLPをすでに導入しており、このシステムと連携を取れるクラウドストレージが、事前にテストしたサービスの中でBoxだけでした。
BoxとSymantec DLPの連携により、コンテンツの管理・共有をBoxに集約しつつ、個人情報がBoxにアップロードされた際はDLPが検知して情報を保護する、といった運用を実現しています。
参考:
事例⑦:働き方が多様化する中でも安全にDX推進を加速
Box Japanは、株式会社ロッテがデジタル基盤のひとつとしてBoxを採用し全社導入することを発表しました。 同社では、コロナ禍や時代の流れにより、変化し続ける市場や顧客ニーズに対応する必要に迫られている状況を受けて、次の成長につながるシステム基盤の中でもコミュニケーション基盤の整備に着手しました。 働き方の多様化によりリモートワークが増えるなどしたことから、従来以上に不正アクセスなどのセキュリティリスクが上がる中、各種コンテンツをセキュアに連携させられるBoxを採用した基盤の整備は、より安全なDX推進の加速につながると言います。 参考: ロッテ、ビジネス成長を支えるDXの基盤としてBoxを全社導入~急速な市場変化に対応できる、セキュアなコミュニケーション基盤整備によりDXを加速~|PR TIMES ロッテが「Box」を全社導入–DX推進や情報ガバナンス強化に向けて|ZDNet Japan
事例⑧:4,000人規模のファイルサーバを移行
デジタルワークプレースをはじめとするインターネット接続サービスやインターネット関連サービスを提供・整備する株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は、自社のWindowsファイルサーバをBoxへ移行しました。 協力会社の人間も含め、全体でおよそ4,000人規模、容量約25TB、同時接続数は平均2,000接続ほどの環境です。 Boxへ移行するきっかけとしては、同社で利用していたMicrosoft 365のファイルが散らばってしまったことでファイル管理が非効率になってしまったこと、ファイルサーバのファイルに対して全文検索したいといった要望があったことなどが挙げられています。 参考: #3 WindowsファイルサーバをBoxへ。IIJが乗り換えた本当の目的|IIJ
マクロセンドは、AI活用の前段階として必要な、データ自動収集システム、データレイク・DWH基盤構築、セルフデータプレパレーションツールの提供等、各企業の状況・要望に合わせたデータ活用、DXを支援するサービスを行っております。興味のある方は、以下のサービス記事もご確認ください。
2020年9月30日